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学校のトイレ改修に際して

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現状の問題点

学校のトイレは排泄するためだけの空間では無い。昇降口や廊下などのように必ず一日のうち一度は利用はするが、ただ通り過ぎる空間でもなく、少しの時間はそこに滞在する。そこは、学級、学年を超えて顔を合わせるちょっとしたコミュニケーションの場であったり、みんなが気持ちよく使えるように、生徒一人一人がみんなを思いやる気持ちを培う場であったり、ルールを学ぶ場でもあるはずである。がしかし、これまでの学校の既存トイレは「臭い」「汚い」「暗い」という言葉で表現され、うまくその機能を発揮出来ないでいる。
 
一体「臭い」「汚い」「暗い」の原因はなんなのであろうか。経年変化による劣化や破損はもちろんあるが、まず考えられる原因としては以下の事が考えられるだろう。

●和便器、小便器の便器形状の問題

今までのトイレの便器は和式便器が多く採用されているが、和式便器は洋式便器に比べ便器外排泄の可能性が高い。それが床と便器の廻りや隙間に残り臭いの原因となっている。
また、旧型の小便器は足下まで便器がカバーする低リップ型でないことが多く、便器外に小便が行き易く、そのため汚れ易く臭いの原因となる。
 

●湿式清掃方式の問題

床をデッキブラシなどでこすり、浮き上がった汚れを水で洗い流すいわゆる湿式清掃のトレが多いが、この方式は便器外排泄の場合洗い流せるというメリットはあるが、清掃後の水分によりカビや雑菌繁殖の好環境となり臭いの原因となっている。長年にわたり蓄積した床タイル目地(モザイクタイルが多いのでその分目地も多い)の汚れは日常レベルの清掃での対処は難しい。

●床タイル目地の汚れ

床タイルの目地に付着沈着した黒ずんだ汚れが、空間全体を暗くじめじめした暗い印象を与えている。
 

●照明配置

照明は天井の全般照明だけのところが多く、ブース内に明かりが届かず物理的に暗い場合がある。

その対策

日常生活には必要不可欠で教育的側面や公共の精神や自立心を育む絶好の空間が、「臭い」「汚い」「暗い」という負のイメージで敬遠されている。その問題点を解決し、清潔で機能的で明るく快適な、みんなが利用しやすいトイレにするにどういった方法がよいのか。また、生徒の健康管理や今後増えるであろうインフルエンザ、ノロウィルスなどからの疾病予防の観点からもトイレや手洗設備は学校内の重要な施設として位置づけられることが考えられるので、合わせてその点からもその方策を考えてみたい。

●床の乾式清掃化

土足で使用する駅や公園のトイレは、土ぼこりなどを洗い流す湿式清掃が適しているが、学校は上足であるので土ぼこりなどの汚れはあまり気にならない。現在採用の多い湿式清掃が皮肉にもカビや雑菌を繁殖させているので、清掃方法を衛生的な乾式清掃に変える。その場合は、出来るだけ清掃がし易い床材を選定し、汚れが残らないように目地などは極力なくすようにする。
 

 ●便器の洋式化

臭いの原因となる和式便器をできるだけ洋式便器にする。その場合、直接便器と肌が触れるのを嫌う生徒児童もいるので和式便器をある一定数残す事も考慮する。
 

●巾木換気の採用

臭いは、ほとんど床付近(床と便器の取り合い、床タイルなどの目地)で発生するが、壁・天井付の換気扇では、室内に臭気が拡散してしまう。上記臭いの発生源をなくす工夫をしても防ぎきれない臭いは、拡散前に発生源近くから臭気を排出することが効果的である。人間の鼻に届く前に換気してしまうのが肝要である。
 

●自然光の確保と全般照明、間接照明の併用

学校のトイレ利用はほとんどの場合昼間に限られるので、空間全体の明かり取りは自然光をメインとし、足りない部分を天井の全般照明で補う。またブース内には補助照明として間接照明を採用する。外壁へ新たに開口を設けるのは困難を伴うため、既存窓を有効活用し、ブースなどがかからないようにプラン作成時に配慮が必要である。また、窓を段窓にし一部ガラリとして吸気を確保してる例が多いが、トイレ入口をオープンにする事によりガラリが不要となり、その分ガラスとし採光面積を増やす事も可能となる。