墨田区向島に住居兼事務所を構えました。夕方には芸妓さんたちがカランコロンと下駄をならしながら行きかう風情のある街の一角です。
築35年の鉄骨造3階建ての建物を耐震補強し、一部を除き内装をほぼ撤去し再生させました。周囲を他の建物にぴったりと囲まれた典型的な都市の建物ながら、大きな開口を穿ち、自然の材料をふんだんに用い、ひろびろと、あたたかく、あかるい空間を実現できたと思います
玄関・玄関ホール
ダイニング・キッチン
私は家族でキャンプをする。
そのキャンプの一番の楽しみは、焚き火を囲んで過ごす事である。子供たちはマシュマロを焼いたり、大人たちはチーズを焼いたりしながらお酒を飲み、おしゃべりをしているうちにあっという間に時間は過ぎてしまう。「火」は不思議な魔力を持つ。コントロールを失うと災害になるが、うまく操れば、人は暖をとるために、あるいは食事をするためにそこに集い、自然と笑顔になる。
私は今回の計画にあたり「火」をみんなが集まるところの中心に据える事を考えた。囲炉裏や薪ストーブという選択肢もあったが、都会での薪の確保は難しい。そこで火鉢を思いついた。それをダイニングテーブルに最初から組込んでみてはどうかと。
この空間自体、天井高は2,600ある。
食事をするところというのはあまり天井が高いと落ち着かなくなるので、その対策として火棚を高さ2,100に吊るし、安心感を与える役目を与えた。
1階の仕上は、床はシルバーチェリーの無垢フローリング、壁はしっくい塗り、天井はプラスターボードにEP塗装を施している。しっくいの調湿作用はすばらしく、サッシュのガラス面にはほとんど結露は見られない。
浴室
浴室は子供たちと一緒に入れるように大きめに計画した。
外壁側に全開口サッシュを設け、夏には開け放す事を考えている。 まだ施工されていないが、サッシュの外にはウッドデッキを設け、 そこでビールを飲むのが今のところのささやかな夢である。色彩は白を基調とし、清潔感や明るさが確保出来るようにした。
スタディルーム・子供室
2階は子供たちの空間である。
まず考えた事が、この建物は道路側からしか採光が期待出来ないため、その採光をいかに奥まで届けるかということ。
それから、完全な個室としてしまうとコミュニケーションがとれなくなるので、緩やかに各人のスペースを分けるにはどうすれば良いかということ。
そこで、可動間仕切りで必要な時だけ仕切れるようにする事を考えた。
昼間の間、開ければ道路側からの採光を奥の方まで得ることができ、夜勉強する時や寝る時は閉め、個室にすることができる。
また、我が家は子供3人(全員男の子で高1、小6、年長さん)なのだが、長男、次男の友達が末っ子の勉強を見たり、末っ子の友達と兄たちが一緒になって遊べるような、そんな世代間交流が出来るスペースを作りたいと思った。
下の写真は左から順に可動間仕切りを閉めていく様子を写したものである。中央の部屋が世代間交流を期待して作ったスペースでスタディルームと名付けた。その右側に1室、左に2室ある。左の2室もそれぞれ分けられるようになっている。
2階の仕上は、床はコルクタイル ひまわりオイル仕上、壁、天井共 シナ合板オイルフィニッシュとした。
オイルは家族総出で、手をベタベにしながら塗ったが、それもまたいい思い出である。
「外」の居間
都会にいながら風や光や星に接し、四季を感じられる空間が欲しいと思い、3階には「外」の居間を設けた。

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