花押
- 1 日前
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一本の線に宿るもの
花押というものに、以前から強く惹かれていました。
それは単なる署名ではなく、その人の「在り方」や「志」、さらには生きてきた時間までもが、一本の線の中に宿るものだと感じていたからです。

古来、武将や公家、茶人たちは、自らの精神性や覚悟を花押に込めました。
名前を書くという行為を超え、「自分はどう生きるのか」「何を大切にするのか」その意思そのものを、形として残していたのだと思います。
今回、ご縁をいただき、有川先生に導いていただきながら、自分自身の内側と静かに向き合う時間を持つことができました。
描こうとして描いたというより、自分の中に元々存在していたものが、少しずつ浮かび上がってきた。
そんな感覚でした。
完成した花押には、「大」「浩」「結」という、自分自身の歩みや願いが重なっています。
「結」という文字には、特に強い意味を感じています。
人と人を結ぶ。場と人を結ぶ。過去と未来を結ぶ。見える世界と見えない世界を結ぶ。
それは、私自身が建築を通してずっと向き合ってきたことでもあります。
建築とは、単に建物をつくる仕事ではありません。
土地の記憶を受け取り、人の想いを受け取り、自然や時間の流れを受け取りながら、それらを「場」として結び直していく営みです。
だからこそ、建築もまた「線を引く仕事」でありながら、本質的には「結ぶ仕事」なのだと思います。
今回、花押が額装され、空間の中に置かれた時、初めてそれが“場”を持ったように感じました。
墨の黒。余白の静けさ。その緊張感の中に、日本人が古来より大切にしてきた美意識が宿っています。
描かれている線だけではなく、描かれていない余白にも意味がある。
その感覚は、建築における「間」や「余白」にも深く通じています。
私はこれからも、「命を観て、結び、創る」ことを大切にしながら、建築を通して、人と場の関係を丁寧に紡いでいきたいと思っています。
この花押は、そのための“印”であり、これからの自分自身への問いでもあります。



