野遊庵|自然と対話する暮らし

神奈川県横須賀市秋谷。
相模湾を見下ろす山の上に、小さな家を設計しました。
家族四人のための住宅、野遊庵。2018年の竣工です。
ご家族は、酒や味噌などの発酵食品を自分で作る方たちです。
野菜を育て、収穫して食べる。
焚火や湧き水、キャンプが好き。
そんな暮らしを叶えるために、この土地を選ばれました。
自分のイメージにぴったりの土地が見つかった。
ここに、どんなものが建てられるだろうか。
ご相談を受け、現地へ案内していただきました。
細い山道を登った先に、相模湾が広がります。
お話を聞きながら、その場で建物のイメージをスケッチしました。
海へ視線を開く。
室内とつながる、いくつかのテラスを用意する。
全ては、そのスケッチから始まりました。

ご家族にははっきりとした暮らしのイメージがありました。
土間と薪ストーブが欲しい。
火で暖をとり、料理の煮炊きにも使いたい。
日当たりと風通しを、上手に取り入れたい。
どの部屋からも緑が望めるようにしたい。
海へ向かって下がる斜面には、畑へ行く動線も考えたい。
鍋でご飯を炊く。
せいろで解凍する。
日々の食事も、そんなふうに作っているご家族です。

家と、そのまわり。
両方を使って過ごす暮らしが、そこにありました。
この家には、性格の違う四つのテラスを設けました。
一階には「湯上りテラス」。
浴室から直接出て、夕涼みのできる場所です。
寝室の前には「憩いのテラス」。
二階の土間からは「みんなのテラス」へ。
ご近所さんも入れる、仲間を呼んでワイワイできる場所。

居間には「眺めのテラス」。
一番眺望の期待できるところにつなげました。


お風呂に入ったあと。
寝室で休むとき。
誰かが訪ねてきたとき。
海を眺めたいとき。
それぞれの場所から、外へ出られます。

玄関には、古い蔵戸を使いました。
お施主さんと、古材を扱う横須賀の「桜花園」さんへ。
玄関や内部に使う建具を、一緒に探しに行きました。
二人であれこれと悩みながら、ピンとくる蔵戸を見つけました。
幅は一間。
重厚な戸の、格子越しに漏れる繊細な光。
外壁は焼杉です。
焼き具合を確認しながら進めました。
山の上の工事には、工夫も必要でした。
細い山道では、運べる鉄筋の長さが限られます。
一本でよいところを分割し、現場で継ぐ。
構造的に期待できなかった既存の擁壁は撤去しました。
建物の基礎と一体の壁をつくり、土を受けています。
海を眺める。
火を使う。
植物と暮らす。
仲間が集まる。
ご家族が望んだ暮らしを、家の中と外につなぐ。
野遊庵は、そんな家です。
住まいづくりのご相談は、QUESTWORKSの問い合わせ窓口へ。



